第6話 森林が豊かな海を育てる

大阪湾などの排水が綺麗になりすぎた事で沿岸域の栄養が少なくなり、不漁や海苔の色落ち問題を引き起こしている話は聞いた事はありませんか?
魚の餌植物プランクトンの繁殖に欠かせない窒素やリン等を、生活排水を綺麗にしようと徹底的に処理した事で、必要以上に取り除いてしまった事が原因に挙げられます。

森林と海の関係も同じで、バランス良く肥沃な山土の栄養を届けていて、それが植物プランクトンの生育を促します。山林には貯水機能もあるため、過度に栄養が流出しないように調整できる点も大切なポイントです。

しかし人工林については手入れをしなければ荒れてしまうにも関わらず、後継者不足や安価な海外木材によって淘汰された結果、林業は大幅に縮小、所有者不明の森林も増えて崩壊の危機にある山林が非常に多くなっています。そうなれば栄養どころか土砂災害が発生して、農地もろとも沿岸生態系が一気に崩れます。

海に貢献しているのは土だけではありません。釣り餌に欠かせないミミズや、ハリガネムシに寄生されて自ら川に飛び込むカマドウマなど、魚にとって大切な食糧が山の生態系の中で育まれているのです。

だから山地が荒れればおのずと海も荒れるのです。だから近年は漁師が木を植えたり、林業に転職したりしているのです。