第56代 部会長 廣岡辰一

【基本理念】
変化を恐れず共に進もう!輝ける水産業の未来に向けて!

【スローガン】
 温故知新
~既知から学ぶ変化と創造~

所信】
日本青年会議所水産部会は、日本の水産業の推進力となるべく立ち上がった熱き情熱をもった先輩諸兄姉が集い、伝統を守りつつも自らの生き方を貫いてこられた努力の賜物そのものであります。我々は、創始から56年の月日を経た今、時代の変化と共に様々な問題があるなかで、問題から目を背けることなく水産業の明るい豊かな未来を本気で考え創造するべく歩みを続けなければなりません。

かつては、世界を牽引するほどの成長産業であった日本の漁業生産量は、1984年をピークに36年間で約半分となる一方で、世界の漁業生産量は約2倍となりました。その原因は、海洋環境の変動の影響に伴う水産資源の減少、燃料費などコストの高騰、少子高齢化による後継者不足と漁業就業者数の減少・高齢化と数々の大きな問題によるものです。また、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を奮ったことで、日本の水産業においても多大な影響がありました。人々の当たり前の日常が当たり前では無くなり、社会のなかでの価値観が大きく変化するなかで、日本の大切な産業である水産業の未来を創造するためにも、今まさに大きな社会の変化に対応するべく変革を推し進めていく重要な局面であります。

コロナ禍において、日本の水産業にどのような変革が必要であるのか。また、変革のためには、忘れてはいけないもの、変わってはいけないものもあります。それは、水産部会のつながりです。全国には、自分事のように直向きになって、とことんまで仲間に寄り添うことのできる同志だけではなく、何時でも我々に背中を見せ続けて来られた心から敬愛する先輩諸兄姉がいます。人とのつながりが希薄化していくなかで、水産部会のつながりは必ずや日本の水産業の力の源になると考えます。なぜなら、その根底にあるのは、信頼し合う仲間と共に、自分事のように共感ができ知恵を持ちより助け合うことができる精神があるからであり、それは、未来へ向けて変革をもたらす勇気ある一歩が踏み出すことのできる原動力なのです。

未来は今を生き抜く一人ひとりにかかっています。

一人ひとりの今が大切なのです。

共に力を合わせ日本の水産業の素晴らしさを未来につないで行きましょう。

昨今の日本では、食卓の魚離れが叫ばれていますが、魚は日本の食文化に欠かせないものです。既存の資源での漁獲が限界と言われる現代ではありますが、世界に目を向けると、漁獲生産全体の約5割が養殖生産を中心とした資源管理による産業となっております。しかし、日本においての養殖生産は、漁獲生産の2割にも満たない現状です。日本の水産業の未来を見据えた時、海の恵みを活かす持続的な漁業のためにも、資源管理によって資源を持続的かつ最大限に利用することが必要であると考えます。伝統ある水産業の歴史のなかから文化に触れ、部会を通じて先進的な取り組みを学び、未来を見据えた考えを深めていきます。

昨年、水産部会は創立55周年という大きな節目を迎えました。同時に、社会のなかでは新型コロナウイルス感染症の蔓延により、開催を予定していた記念式典と記念事業の開催が見送られました。本年度のスローガンには、人と人とのつながりを大切にすることは、既知から学び未来を創造することに必要不可欠なことであると想いを込めてあります。だからこそ、未来に向けて歩みを止めることなく新たな一歩を踏み出すためにも、本年度は、創立56年目に記念式典と記念事業の開催を行い、歴史を振り返り、創始の熱き情熱を心に刻み、現役会員とシニア会員との結束をより力強くします。

また、スローガンである温故知新にある「故きを温ねる」とは、過去を紐解き、そこから過程や事実、結果を学ぶことです。そして「新しきを知る」とは、学んだものから新たな知識や時代に則した見解を導くことです。古くから受け継がれていることは、何か理由や原因が必ずあるはずです。そのことを知り、さらに時代に則した「新しき」に変えようとしていくことで、より良いものが生み出されると考えます。そして、「故きを温ねる」とは決して過去に捉われるということではありません。過去に捉われるということは現状維持であり、現状維持だけでは良い変化は起きません。「変わってはいけないもの」のなかから「変わらなければいけないもの」を見出し、水産業界の発展を胸に会員一丸となって運動を推し進めて参ります。

最後になりますが、私は、2015年に水産部会へ入会し初めて参加したのは、創立50周年記念式典でした。初めての参加で知り合いもほとんどいないにも関わらず、快く迎えていただけたことも記憶に残っています。それから6年の月日のなかで、水産を愛し水産の未来と真剣に向き合う多くの人と出会い、共に時間を共有し共に学ぶことで私がもつ人生観を大きく昇華させていただきました。私自身が成長させていただいた水産部会において、部会員一人ひとりが輝ける水産業界の未来を描くことができるように全身全霊をもって邁進して参ります。先輩諸兄姉の皆様におかれましては、ご指導ご協力を賜りますようお願い申し上げます。一年間どうぞ宜しくお願い致します。